Travel Journal (Guatemala)

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グアテマラの火山を望むコーヒー乾燥場

Origin Journal · Guatemala

グアテマラ
産地訪問記

生産者の声を聞き、農園を歩き、これからのコーヒーを探す旅。焙煎士・福井蓮笙が訪れた、グアテマラの産地をめぐる記録です。

Words by Rensho Fukui Guatemala March 2026

From the Roaster

コーヒーの味わいだけでなく、
その背景にいる人と土地を知るために。

こんにちは、焙煎士の福井蓮笙です。今年の3月、コーヒー豆の買い付けのため、グアテマラを訪問しました。

今後も継続してコーヒーを届けていただけるパートナーを探すこと。そして、現地の文化や環境を自分の目で知ることが、今回の旅の目的です。

農園や精製所を訪れ、生産者の声を直接聞くことで、コーヒーづくりへの思いや考え方に触れたいと思っていました。品質向上のための工夫や、生産者ごとの価値観を知ることも、買い付けを行う上で大切にしています。

01

Guatemala Chapter

現地の風景と
コーヒーを育む環境

Antigua & Santa Rosa

火山と高地が育む、
ふたつの異なる環境。

今回訪れたのは、観光地としても知られるAntiguaと、Fraijanesの近くに位置するSanta Rosaの2地域です。どちらも標高1,500〜1,800m前後に位置し、周辺には活火山があります。

CountryGuatemala
RegionsAntigua / Santa Rosa
Altitude約1,500〜1,800m
SeasonDry Season
Time Difference日本との時差15時間

火山灰を含む土壌は、コーヒーの味わいにも大きな影響を与えているそうです。

グアテマラは日本よりも気温が高く、訪問時は乾季だったこともあり、湿度が低く過ごしやすい気候でした。

日本との時差は15時間。なかなか時差ぼけが抜けず、日中に眠気と戦いながら過ごしていたのを、今でもよく覚えています。

Antiguaは日差しが強く、街を歩いているだけで汗ばむほどの暑さでした。一方、Santa Rosaは標高と風の影響もあり、昼間でも上着が欲しくなるほど涼しく感じられました。

サンタロサの山間に広がるコーヒー農園
01 / Santa Rosa山々に囲まれた高地に広がるコーヒー農園。
Zel Cafe代表のセラヤ氏

02

Antigua, Guatemala

Zel Cafe

Zel Cafe代表 セラヤ氏

Antiguaを拠点に、周辺地域からチェリーを買い付け、自社精製所Bella Vistaで生豆まで仕上げるコーヒーカンパニー。大規模な生産の中で、品質と安定性の両方を支えています。

Zel CafeはAntiguaを拠点に、主にボリュームロットを取り扱う会社です。

周辺地域からチェリーを買い付け、自社所有の精製所「Bella Vista」で精製を行い、生豆まで仕上げています。一部の生産者は自身で精製所を所有しており、そこで仕上げられたコーヒーを買い取ることもあるそうです。

代表のセラヤ氏は3代目。祖父の代から続く家業としてコーヒーに携わり、自身でも複数の農園を管理しています。

どの農園も30ha以上と大規模で、主にレッドブルボン、イエローブルボン、カトゥーラなどが栽培されています。

Inside Bella Vista

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Zel Cafeが所有する精製所Bella Vista
01 / Bella Vista

Zel Cafeが所有する精製所Bella Vista。

Bella Vistaの広大な乾燥場
02 / Drying Patio

山を望む広大なパティオで、コーヒーを均一に乾燥させます。

木製の乾燥棚に広げられたコーヒー
03 / Drying Detail

木製の乾燥棚で、状態を確認しながら水分を整えていきます。

Zel Cafeの皆さまと撮影した集合写真
04 / Together

Zel Cafeの皆さまと、Bella Vistaでの訪問を終えて。

A Memorable Variety

産地を訪れたからこそ出会えた、
Malawi Geisha。

GeishaやJavaを植えている農園もあり、特に印象的だったのは、エチオピア由来だという「Malawi Geisha」です。

カッピングでは、キウイを思わせる果実感に加え、瓜のようなみずみずしさと、華やかなフローラルさを感じました。

一般的なGeishaに見られる柑橘やジャスミンの印象とは異なり、より丸みのある甘さを伴った味わいでした。産地を訪れなければ出会えなかった品種のひとつです。

手のひらに載せられた完熟したコーヒーチェリー
Coffee Cherry品質の土台となる、完熟したコーヒーチェリー。

近年は発酵やプロセスに注目が集まりがちですが、「まずは良質なチェリーを育てることがすべての土台になる」という考え方に強い説得力を感じました。

大規模な生産を行うグアテマラだからこそ、チェリーの重要性をより深く理解しているのかもしれません。

Prisma Coffee代表のエドワルド氏

03

Guatemala City

Prisma Coffee

Prisma Coffee代表 エドワルド氏

Guatemala Cityを拠点に、マイクロロットを中心に取り扱う輸出会社。生産者が完成させたコーヒーの品質を見極め、その価値を市場へつなぐ役割を担っています。

Prisma Coffeeは、首都Guatemala Cityを拠点に、マイクロロットを中心に取り扱う輸出会社です。

Zel Cafeとは異なり、精製を終えたコーヒーを買い付けています。生産者がつくり上げたコーヒーの品質を見極め、適切に評価することが重要な役割です。

代表のエドワルド氏は、国際品評会Cup of Excellence(COE)のヘッドジャッジも務める人物で、高いセンサリースキルを持っています。

以前はAnacaféで働いていた経歴もあり、栽培から品質管理まで幅広い知識を有しています。案内していただく中でも、コーヒーへの深い情熱と豊富な経験が感じられました。

最近の品評会では、Geishaをはじめとした特殊品種や、特徴的な発酵プロセスを取り入れたコーヒーが高く評価される傾向があります。

そのため以前から、品評会で評価されることと、継続的に価値を生み出せることは、必ずしも同じではないのでは、と考えていました。

エドワルド氏の回答を聞き、その違いが腑に落ちました。品評会では唯一無二の個性や希少性が評価される一方、実際の取引では、高品質なコーヒーを継続して生産できるかどうかも大切です。

品質だけでなく、その背景にある生産体制や将来性まで見る視点は、輸出会社ならではだと感じました。

3.1

Prisma Coffee · Farm Visit

Finca Santa Ana

受け継いだ農園に新しい品種と技術を取り入れながら、より良いコーヒーを追求し続けるフェルナンド氏の農園。

Finca Santa Ana農園主のフェルナンド氏

Santa Rosa, Guatemala

Fernando

Second-generation Producer

2013年に父親から農園を引き継ぎ、新しい品種の導入や灌漑設備の実証などを進めながら、品質向上への挑戦を続けています。

Prisma Coffeeを通じて、滞在中に訪れたSanta Ana農園のPacamaraと、Amatillo農園のBourbon × Catuai、2種類のコーヒーを買い付けることができました。

Finca Santa Anaは、Guatemala Cityより南のSanta Rosaに位置しています。エステートはSanta Ana、Idoria、Amatillo、Cielitoの4つの区画に分かれています。

Region

Santa Rosa

Farm Sections

Santa Ana
Idoria
Amatillo
Cielito

Owner

Fernando
2nd Generation

Management Since

2013

A New Chapter

異業種の経営者から、
コーヒー生産者へ。

農園主のフェルナンド氏は2代目。以前は郊外で携帯電話販売店をチェーン展開していた実業家でした。

2012年に父親が亡くなったことをきっかけに、翌2013年から農園を引き継ぎ、運営しています。

フェルナンド氏はCOEでも入賞するほどの実力者ですが、現状に満足せず、より良いコーヒーを生産するために試行錯誤を重ねています。

From Processing to Farm

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木製の乾燥棚に広げられたコーヒー
01 / Processing

生産者が仕上げたコーヒーの品質を見極めます。

乾燥棚で乾燥されるコーヒーチェリー
02 / Natural Process

果肉を残したまま乾燥させるナチュラルプロセス。

霧に包まれたSanta Rosaのコーヒー農園
03 / Santa Rosa

標高と風の影響で、涼しい空気に包まれる農園。

Finca Santa Anaに導入された灌漑設備
04 / Irrigation

降雨量の少ない時期に備え、効果を検証しています。

Cultivars & Experimentation

受け継いだ品種と、
新たに植えた品種。

2022年のCOEでは、Idoria農園が22位、Santa Ana農園が29位に入賞しました。どちらもGeisha種でしたが、そのほかにもさまざまな品種を栽培しています。

父親の代に植えられたBourbon、Caturra、Catuai、Pacheに加え、Geisha、Pacamara、SL28、エチオピア由来の品種、Maracaturra、Obataなども新たに植えられています。

さらに、新しい品種の導入も検討しているそうです。降雨量が少ない時期への対策として灌漑設備も導入し、その効果を検証していました。

Most Memorable Cup

買い付けることはできなかった、
忘れられない一杯。

現地で飲んだ中で最も印象的だったのは、今回は買い付けることができなかった、Santa Ana農園のエチオピア由来の品種でした。

ベリーを思わせる果実感としっかりとした甘さがありながら、華やかさと繊細さを兼ね備えたコーヒーでした。

カッピングテーブルの中でも、ひときわ存在感を放っていました。新しいことへの挑戦を続けるフェルナンド氏だからこそ生み出せた味わいなのだと感じました。

From Guatemala

生産者の声を聞き、農園を歩いて出会ったコーヒー。
その土地や人のことも、一杯とともにお届けしていきます。

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